マージおじさんとボグヴァーツ特急 著:日下部 峰雪
第32話 驚愕と恐怖
おじさんが口火を切った。大爆発まではすぐだろう。ハリーはありえないところでありえない相手に捕まっている事に頭がついていっていない。今日はよく捕まる日だ。
「勿論何が言いたいのか分かってるんだろ?」
「…。」
ハリーは驚愕と恐怖で言葉を返すことができない。先ほどの「コテンパンにしてやる!」という気概は、おじさん本人を目の前に掻き消えてしまったようだ。
「あたしゃ悲しいよ、あんたがこんな情けない心根の持ち主だったなんて。どんなにひねくれていてもいつかは分かってくれるだろうって、そう思っていたのにさ。お前は哀れなおばさんにひどい恥をかかせて、それでよくもまあへらへら笑っていられたもんだねぇ…、え?…その腐った性根を……叩き直してやろうかぁあ!!!」
一言ごとに怒気を増していったおばさんは、叫ぶや否やハリーは思いっきりテーブルの上に投げ飛ばした。勢い余って、ハリーは料理を満載した食器を巻き込みながら床に滑り落ちる。ようやく状況を把握したハリーが激痛に顔をしかめながら起き上がろうとすると、目の前には既におじさんがやってきていた。
「おいおい、ノックダウンにゃまだ早いぜ?」
おもむろに手を伸ばすと、ハリーをその分厚い掌でアイアンクローのまま持ち上げ、残った右手で強烈なボディブローをかました。骨が折れるような奇妙な音を立てながらハリーは再び宙に舞った。既に意識は飛んでいる。
おじさんは下に落ちた料理をひとつつまみ食いすると、再びハリーに迫ってゆく。
はじめ何事かと訝しんでいたスリザリンのテーブルからは歓声が上がった。あからさまにスリザリンを毛嫌いしていてその感情を隠そうともしないハリーには、去年もわざわざ狙ったかのようなずるい手段で、何度となく恥をかかされていたからだ。
このままでは明らかにハリーは危険である。だが、その狂乱はすぐに終わりを告げることとなる。
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