マージおじさんとボグヴァーツ特急  著:日下部 峰雪


第29話 組み分け帽子

 組み分け帽子は困ってしまった。というのも、あらかじめ与えられた名簿資料に従って各クラス均等に生徒を振り分けるのが彼の仕事であり、たいていの場合、彼のここでの仕事は被った人間を識別し、あらかじめ決まった組を読み上げるだけの筈であったからである。

 しかしその名簿に登録されていない未知の者が今、自分を被っているのである。そんなことはここ数十年なかった。だから困ってしまった…確かにマクゴナガレフ長官にこの場で事を報告することはできる。しかし、もしもこれが自分の事前の準備ミスであったならば、最悪雑巾にされかねない。スターリナ(鉄の女)とも呼ばれるマクゴナガレフは失敗を許さないのだ。以前にも名前の入力ミスにサブリミナル照合を怠けてしまったことが重なり、間違ったクラスに入れてしまった女子がノイローゼになり自殺してしまうという事件が起きて、責任問題で怖い思いをした経緯があるのだ。

 能力的にはここで自分の裁量で事を処理することもできる。被った者のサブリミナルマインドへの潜入はお手の物だったし、長年の経験と勘でデータと照合するまでも無く、かなりの確率で正しく生徒の所属すべきクラスを予想できた。

 しばし考えて、組み分け帽子はこの異変を無かった事にすることに決めた。もとよりこの男の性格傾向は分かりやすい。組み分け帽子は高らかにおじさんの所属すべきクラスを謳い上げた。

 「スリザリン!」

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