マージおじさんとボグヴァーツ特急 著:日下部 峰雪
第18話 PT-35
マージおじさんは怒り狂っていた。もう、どこをどうしてここまで来たのか分からない。とりあえずハリーを追って汽車のホームまで来たはいいが、一列だけ止まっていた真っ赤な車体に金の紋章をあしらった列車に乗り込んでから、ハリーがどこにいるかなんて全然知らない事に気付いた。
しかし、運悪くその時には汽車はもうもうと煙を吐いてホームを離れ始めていた為、既に退くことすらできない有様であった。
マージおじさんは、乗るときに一瞥したこの列車の形に覚えがあった。
(!、まさか、これは・・・PT-35ッ!?)
細かい装飾は異なるものの、非常によく似ているように思われた。
しかしこの考えは即、振り払われる。 そんな物がこの国、この時代に存在しているわけがない。その列車は少なくとも四十年程前には歴史から姿を消している筈である。
気付いてみれば、周囲からはみょうちきりんな格好をした少年少女が奇異の視線を送ってきていた。
「・・ねえ、あんなのいたかしら?」
「今年から入る奴なんじゃねーの?」
「げっ、あれで下級生かよ?」
「ってゆうかぁ、あれって人間?」
「ぶっちゃけ、今年から入る用務員のおじさんかなんかじゃね?」
「おいっ、こっちを見たぞ!」
そのうちに、一人の生徒が物知り気にこう言い出した。
「俺の記憶が正しけりゃ、あれはオーガーの子供だな。」
・・・オーガー?・・・ざわざわと、知ったかぶりの発言にどんどん話の輪は広まってゆく。 しまいには一時間もしないうちに列車中に噂が広まり、事態はますます紛糾した。マージおじさんはといえば、その頃には朝からの空腹に耐えかねて列車の床に座り込み、怒る気力もなくなっていた。
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