マージおじさんとボグヴァーツ特急 著:日下部 峰雪
第10話 今朝のパン
さて日が明けてみると、今朝のパンがないことに気付いた。マージおじさんはそもそも相当に食べる方である。とりあえずパンを買いに出掛けようとして、自分が昨日のままの格好である事に気付いた。なんだかんだで昨日は慌しかったからね、と一人納得して朝の町に繰り出した。
しかし一ブロックも進まぬうちに、マージおじさんはまたもや尾行の気配を感じた。 長年の経験から今度こそ間違いという事はありえない。そのままおじさんは何食わぬ顔で袋小路に足を進めた。そして角を曲がると気配を隠して物陰に潜んだ。
程なくして男が現れた。 男は、塀に背中を預けて待ち伏せしていたおじさんを見るとあからさまに狼狽した。 おじさんは塀から背中を起こすと、後ずさる男を袋小路の奥に追い込んでいった。
「おやまあ初々しい反応だねぇ。あんた尾行は素人だね?さぁて、ゆっくり事情を聞かせてもらおうか?言っておくがあたしゃこういうのは慣れてるんだ、隠し事なんてしようとは思わないほうが身のためだよ。」
そういって腕をバキボキと鳴らす。
付近の通行人達は何事かと訝しげにこちらを見るも、そのままそそくさと過ぎ去ってゆく。 嵐の前触れを感じてか、鳥や猫もいなくなる。
第9話<< >>第11話