マージおじさんとボグヴァーツ特急  著:日下部 峰雪


第8話 逞しい腕

 さすがに被害がマージおじさんにまで及ぶ事は計算してなかっただけに、ハリーはついに声を立てて笑ってしまった。 マージおじさんも笑っている。 次の瞬間ハリーは、自分の両の肩が逞しい腕によって掴み上げられるのを感じた。

 「どうしてお前はそうひねくれてるんだい!?かわいいダッダちゃんが泣いているというのに!おまえだろう!?お前がやったんだろうがぁぁ!!」

 マージおじさんのただならぬ絶叫に危険な気配を感じたバーノンおじさんはさすがに止めに入る。
「よせ、マージ!よくある事だ!ダドリーはよく自分の椅子にああいうものを隠しっ放しにするんだ!」

 しかしマージおじさんの怒りは頂点に達している。
「いいや!あたしはだまされないよ、この腐り切った顔に活を入れてやる!!」
そしてハリーを床に投げ飛ばすとその上にダイブした!

―ハリーはこの時を待っていた―

耳の奥まで響き渡る轟音。 ズドガシャーン!!!

・・・ そして一瞬の沈黙。 のしかかる肉の重圧と激痛に薄れゆく意識の中で、ハリーは呪文を唱えた。

(万物の根源たる大いなるマナよ・・わが声に耳を傾けたまえ・・・・)

 ハリーのような非熟練者が秘密裏に魔法を発動する場合、その対象との間に光り輝くスパークが走って魔法の使用を悟られるという致命的弱点がある。 ハリーはそれをカバーするためにおじさんとの距離がなくなる時を待っていたのだ。魔法発動!…この瞬間、マージおじさんのお尻は少しずつ変化しはじめた。 しかしそのことにはハリー以外の誰も気付かぬまま、程なくしておばさんは帰っていった。

 明日にはボグヴァーツへ発ち、また面白おかしい連邦科学アカデミー付属ボグヴァーツ魔法学院での生活が待っているのだ。明日からの生活と久々の勝利の充実感に、ハリーは心地よく休暇の最後の一日を過ごしたのだった。

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