マージおじさんとボグヴァーツ特急  著:日下部 峰雪


第4話 育ちすぎた赤ん坊

当のダドリーは自分を見つめる軽蔑に満ちた視線を気に止める風もなく、育ちすぎた赤ん坊のような巨体を揺らしてむずかり、愛すべきゲーム機を殴りつけ、コードを引きちぎり(いやはや、外人の腕力はたいしたものだ!)わめき始めた。そんな息子の様子を、バーノンおじさんとペチュニアおばさんは怪訝な顔をして哀れなものを見るような視線で見つめていたが次の瞬間、バーノンおじさんははっとしてゲーム機を見つめた。

 「メイド・イン・ジャパンだ・・・。でかしたぞ息子よ!」
なるほど、そのゲーム機は日本メーカー製である(その企業の名誉を重んじてあえて固有名詞は出さないでおこう)。 ダドリーはそれに耳を貸さず、さらにゲーム機を鷲掴みにすると力任せに窓の外へと放り投げた。哀れなゲーム機は通りの彼方に掻き消えた。

  ようやく事態を悟ったペチュニアおばさんもわが子にすり寄るとその巨体を抱きしめた。
「かわいい、かわいいわが子や、お前はお父さんの敵を取ってくれたのねぇ。なんていい子何でしょ。それにひきかえ・・・。」
先ほどから皮肉な眼差しで過保護な親子のやり取りを観察していたハリーを見据えると、ペチュニアおばさんは悪態をつき始めた。
「お前はなんて嫌な子なんでしょ。居たくないのなら出て行けばいいでしょ、不満があるのなら!うちのダッダちゃんに何の恨みがあるの!どうしてそんな目で見るの!」
最後はもうほとんどヒステリックに泣き喚いた。

  しかし、ハリーの側にも言い分はある。身勝手で幼稚な従兄弟に、健全な自分は常に従わねばならないのだ。そのせいで友達はできない、ダドリーのサンドバッグにされる、おまけにおもちゃもずっとダドリーのものを共有せねばならなかった。彼がどこか廃人の様になってひねくれるのも無理はなかろう。

  夫妻にとっても、本当のところはハリーを見るたび辛かった。その皮肉な視線が辛かった。無論夫妻には分かっていた。 自分達のしている事がどうしようもない代償行為であると、惨めな慰めに過ぎぬと。 であるから許せなくもあった、ハリーでなく自分達自身が。だからこそ、ハリーを見るたび思い起こされるどうしようもない悲しみと怒りをハリーにぶつけることがあっても、彼の親代わりの責務はずっと果たし続けていた。

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